2022年9月より、福岡・博多に位置するホテル、THE BASICS FUKUOKAにて、
SCREAM ICE CREAMがプロデュースするアイスクリームの提供が開始。
後半は、コラボレーションで生まれたフレーバーの制作秘話を公開します。

前半記事はこちらから↓
『ホテル×アイス!?異色のコラボの意外な共通点』THE BASICS×SCREAM ICE CREAM対談(前半)
■アイスが生まれるまで
加藤:コラボレーションアイスのテーマは「MELTY TRIP」は、我ながら気に入ってるよね。
古田:BASICSさんが提供するのは「好奇心を刺激する」宿泊体験。僕たちのアイスは、食べて終わり、ではなく、「体験」を作り出したかった。アイスを食べる体験を通して、考えて、感じて、頭の中も口の中もとろけるような旅になってほしい。
そんな意図でMELTY TRIPと決めました。
加藤:BASICSさんの空間作りからも、「旅」というキーワードは深く入り込んでいるなと思っていて。ホテルの役割自体が、旅の一部を担っているのはもちろん、入口から入って真っ先に目に入る壮大なブックライブラリーは、大陸をイメージして選書されていたり。だから私たちのアイスでも部屋に籠って食べるという「点」のシーンではなく、旅の始まり・終わりの一部としてアイスを楽しんでもらいたいですね。

■フレーバー開発について
加藤:今回のフレーバーの名前は、『BOUQUET MILK(ブーケミルク)』。
コラボが決まってから、フレーバーが思い浮かぶまでが、実は一番時間がかかったし、悩んだよね。
古田:コラボアイスを作るとなって最初にしたことが、 THE BASICS FUKUOKAをめちゃくちゃ調べて深堀りすること。その中で、「好奇心」「基礎」というワードに焦点を当てました。基礎を大事に超シンプルなアイスにするか、とか料理の基本となる「さしすせそ」の調味料を使おうかとか、色々考えたけどなかなかしっくり来なくて。
好奇心を引き立たせるような体験を生むアイスについてもそれをどうフレーバーに落とし込むかは、通常のアイスクリームのフレーバー開発の域を越えてものすごく考えて悩みました。
夜中に二人で頭を悩ませる中で、ふと、「好奇心って植物みたいだな」と思ったんです。
誰にでも心に備わっていて、それがどう育っていくかって過程が大事で。
土に種をまき、根を張り、木になり伸びていって、花を咲かせる、植物の様子が思い浮かびました。
加藤:「好奇心を生むアイスを作るんだ!」と、意気込んで、課題に対する正解を見つけることに苦しんでたけど、花の部分ではなく、種の部分を作れば良いじゃん、と気づいてからはスッキリしたよね。
本来、人間の感情には正解がない。このアイスを食べて、こう感じて、こういう行動をとってほしいなという誘導ではなく、あくまでも私たちのアイスが好奇心の種となって、食べた人それぞれのどこか − 味覚なのか、ワクワクした感情なのか − に作用したらいいな。とオープンに考えることができました。

古田:そして、考案したのが、身近な植物、ハーブを使ったアイスクリーム。
ハーブでブーケを作ってミルクの中に投げ入れたような、そんなイメージが頭の中に浮かんだので、「ブーケミルク」と名付けました。
■今回のフレーバーのこだわりポイント、表現したかったこと
加藤:ブーケミルクで表現したかった大事なポイントはどこだった?
古田:真っ白なアイスを作ること。ブーケミルクというフレーバー名のカップアイス。フタを開けると、真っ白なアイスが目に入る。スプーンですくって口元に近づけると、ハーブの香りが鼻に抜けていく。そして口の中に入れると脳裏に緑が広がり、食べ終わった後もしばらく鼻に残る香りの余韻。裏側に隠れた“ブーケ”は、みんながみんな同じ景色でなくていいのですが、この一連の、アイスを手にとって食べるまでの体験の中に、たくさんの 裏切りや“?”のポイントがあって、それが好奇心というものに繋がったらいいのかな〜と思って。ブーケと言いながらあえて白のアイスにすることはこだわりでした。

加藤:江里口さんの、フレーバーの提案を聞いた時の第一印象を聞かせてください。
江里口:提案を聞いた時、おしゃれだ、と思いました。
加藤:提案した時に、そうきたか!と一言目に言われたのは覚えています。笑
江里口:最初にアイデア段階でお聞きしていた部分から、勝手に和テイストのフレーバーを想像していたので、ハーブが出てきたのは驚きでした。
「ハーブ」という食材よりも、「ブーケ」という表現で伝えてくださったのが分かりやすく、提案をいただいた時にピンときました。
■今後についてそれぞれにかける愛
加藤:ホテルとアイスという、異色のコラボレーションが実現できましたが、今回のプロジェクトをきっかけに、お互いがどんな風にアップデートしていくのが理想でしょうか。
江里口:THE BASICSとしては、ホテルのコンセプトをより感じていただくこと、そして福岡の旅をもっと楽しく、というものがありますが、個人的には、全員にとっての正解にならなくても、一人にとって特別な体験が提供できたら。と思います。たまたま、福岡に来て、たまたまこのプランを選んだかも知れない。だけど、それを体験することで、記憶になって、また福岡に来たい、ここに泊まりに来たいと思っていただける、きっかけをこれからも作っていきたいです。
古田:江里口さんの、BASICSという場所に対しての愛情や、一緒にプロジェクトを考えながら前向きに進んでいける協力的な姿勢には心を打たれました。江里口さんと、BASICSさんとだからこそできたコラボだったなと思っています。
加藤:当時まだ1年目だった私たちが、未熟ながらも必死に考えて提案をした時に、なんの迷いもなく、「やりましょう」「面白い」と真っ直ぐに言ってくれるのが本当に嬉しかったです。
江里口:SCREAM ICE CREAMさんと一緒にやっていて、私も学ばせてもらいました。まず、“こんなにアイスに対して情熱を持ってる人がいるんだ?”と正直驚かされました。
二人は、「アイスをアートの位置まで持ってきたい」と、真剣に言っていて、それってすごくない?と。だから、私もそこまでを一緒に作りたいし、二人ならやるだろうな、と思っていました。
古田:嬉しいです。BASICSさんとできたのは贅沢な経験でした。江里口さんは僕の恩人です・・!
江里口:ここまで情熱を持って作ったアイスなので、「BASCISといえばあのアイスだよね」とお客様から言っていただけるくらいまで持っていきたいですね。
